二百十日(にひゃくとおか)。昔から言われる「柿渋しぼり」の時期だそう。「柿渋」は各家庭で渋柿の青いものをつぶして絞り発酵させてつくる液体で、平安時代末期から木や紙や布などに塗って、防水剤や防腐剤として役立ててきたものです。私たちの活動現場、岐阜県恵那市上矢作町では、伝統的に投網での漁がおこなわれてきており、絹糸で編んだ網を強化するのにも使用されたそうです。現代でも、薬効成分への注目もされています。
今回、私たちは「家づくり」や「遊び場づくり」で使う安心・安全な塗料を自作したいと考え、昔ながらの「柿渋」づくりに取り組むことにしました。知恵の伝承、手作り塗料の入手、小さなナリワイの種づくり、里山に取り残される柿を減らすことで鳥獣害対策にもつながる一石四鳥なプロジェクトです!
9月9日(日)の朝、会の頼もしいメンバーによる青柿の収穫からプロジェクトがスタートしました。写真とともに、「柿渋しぼり」の様子をお伝えします。
1.青柿の収穫
竹の先に切り込みをいれて、柿の実のついた枝をはさみ、くるっと回して収穫していきます。見た目以上に力がいる肩の凝る作業。キコリの治孝さんがおしえてくれました。今年はとても実が少なかったです。下では三善さんが良い状態の柿だけを選別して拾ってくれています。
2.刻み・つぶし
青い実だけを、包丁で切って小さくして、水を少し加えながらミキサーでつぶしていきます。大量に作る場合は、つぶすのは大変ですが臼と杵でついてつぶすのがいいかもしれません。かつてはそうしてつくったようです。手で触ると柔らかかったり、切ってみるとすでに黒い点々(ゴマ)があったりする柿は、外は青くてももう甘くなり始めていて渋がなくなっていました。バケツの中は、すでにだいぶ甘くなっている柿たち。
3.絞り
つぶした柿がたくさん集まったら、布袋にいれて絞っていきます。ぐるぐる捻じって、棒の上にのせて、大人の男性3人がかりでギュギュ~っと絞っていくと、たっぷり柿渋の液体が集まります。重しをかけてしっかり絞ります。今回は小さな樽に半分ほど集まりました。
4.寝かせ
柿渋を発酵させるため、蓋をして1,2年寝かせておきます。少しずつ色が変わって褐色になっていくそうです。網の強化に使う場合は、網に色がついてしまうので、柿渋の色があまり変わらない1年くらいまでのうちに浸すそうです。
5.塗る
地元の木でみんなで建てる「コミュニティハウス」。床もだいぶ仕上がってきました。来年の今頃は、家のうちと外の壁も貼り終えて、遊び場の遊具も今より増えてきていることでしょう。また彼岸花が咲く少し前に、今年の「柿渋」の様子を見ながら、「柿渋塗り」をしましょう。そして新しい柿渋も仕込んでいきましょう。
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