「草を刈る」
田舎の暮らしの中で、
かなり重要な仕事のひとつ。
草刈機がなかったころは、
すべて手刈りだったのだから、
どんなに大変だっただろう。
今、山の景色を見て、
地元の年寄り衆が言うのは
青木山(人工林)ばかりということだけじゃない。
「柴山がないもんなぁ」
山里の人々にとって
山は「木」を育てるだけの
場ではなかった。
「草」というのは、
田畑にすき込む肥料だった。
だから、田畑を持つ人は、
採草地組合をつくっていて
田畑とセットで「割り山」として
地域の山を分け合って活用した。
「草を刈る」
その一つの行為も
邪魔者を処理するのではなく
大切な肥料を手に入れるためのもの。
草を刈るための採草地。
木を育てるための山。
薪やキノコや山菜を採る薪炭林。
そして、野生動物が生きる奥山。
年寄り衆の見ている「山」は、
私たちにとっての「山」とは、
まったく違う「意味」があって、
まったく別の景色がそこに広がっている。
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